刀剣女子はどらえもんの手

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抜付(ぬきつけ)は、抜刀してからの相手に対する最初の一撃であり、まさに一閃の鋭さで打ちこまなければならない。
えぇいと(声には出さぬが)横様に抜きつけると、途端に笑われる。
「きゃはは、またどらえもんの手になってるぅ」
また握りしめてしまった。
まあるいどらえもんの手のようになってしまうのだ。                              柄を思い切り握りしめてしまうので、鋭さも何もない。
刀は、力で振るものではない。「一閃」には程遠い。
「ほらほらどらえもんの手」……                                          ああしかし、笑った彼女はもういない。
そう、訃報が入ったのは、今日のような寒い日だった。
それでも刀剣女子は刀を振る。本物の一閃に近付くために。背中に彼女の声を聞きながら。